交換










「うわ、今日のご飯はキムチですか……。」


ラーカイラムの食堂にて
一人苦手なものと戦っていると、隣の席のイスが引かれた。


「なんだぁ?お前、キムチいらねぇのかよ?」

隣の席に腰を下ろしたのは
ファイヤーボンバーの熱気バサラさんだった。


「うん……辛いものは苦手でさ………甘いものは大好きなのに……!!」

甘いものなら、どんなものでも食べる自信があるのに……


「ほぉー…………」


バサラさんは何か考えているようで、突然


にかっ


と笑った。



「じゃあよ、俺のシュークリームとお前のキムチ、交換しねぇか?」


「え?」

「お前は辛いもんが嫌い、でもって俺は甘いもんが嫌い。交換すりゃぁ丸く収まるじゃねぇか。」


「いや、でも、ご飯は好き嫌いせず残さず食べよう、って規則が……」

「何言ってんだ?そんなもんねぇよ。」


「え!!でもこの間ブライト艦長が……」

この前、タコワサビという辛い料理が出たとき
こっそり残そうと、よけて食べていたら
ブライト艦長に後ろから

『こら!!好き嫌いはこの艦の規則で許されていないぞ。残さず全部食べなさい。』

と、怒られてしまった。




「艦長なんて関係ねぇぜ!!自分の思うままに行動だ!!!!お前はどっちが食べてぇんだ!?キムチか、シュークリームか!?」

なぜだろう……言ってる事は全然筋とか通っていないのに、心を動かされてる自分がいる……。



「………シュ、シュークリームが食べたい…。」



私の目の前に、シュークリームが置かれた。


パッと顔を上に向けると、バサラさんが笑っていて、

「よしっ、じゃあ交渉成立だな。キムチはもらうぜ?」

私のメニューからキムチをとった。


「………どうもありがとう。」


「気にすんな。お互い様だぜ。」

「……そうだね。」


なんだかとってもおかしくなって、私とバサラさんは顔を見合って大笑いした。










まあ当然、その後ブライト艦長に怒られてしまったのだけど。

バサラさんも一緒に怒られてたから、別にいいや、と思った。









++++++++++++++++++++++


スパロボのキャラ図鑑で
バサラさんが辛いもの好きと知って、書こうと思ってたんですが……
いやー、なかなかうまく書けないですねー……笑




タイガー&ドラゴンの歌詞に少しドキッとしちゃった。
『俺の、俺の、俺の話(歌)を聞けーっ!!』(笑)