きっと、こんな事を考えているのは私だけなんだろうな。





余裕綽々?









私の彼は大人で

いつもいつも余裕たっぷりって感じで

私が彼を想ってるほどに

彼は私を想っていないと思う。







そんな事で悩み始めたのはいつだったか、


今、私はある人の提案で

ある作戦を実行している。




その名も

『少しは慌てて!大作戦☆』



いつも全然慌てない彼に少しでも慌ててもらおうという作戦です。










「きゃっ・・・」

私はつまずいたふりをして

バサラさんに抱きついた。


(これも教えてもらった作戦の一つだ。
いきなり抱きつかれて少しは慌てるのでは?という感じ。)



「ったく、ちゃんと前見て歩け。」


バサラさんは難なく私を抱きとめて

片腕一つで元の体制に戻してくれた。


「はい・・すみません。」


この作戦も駄目か、と頭の中だけで

少し落ち込む。


今の作戦のほかにも

・いきなり手をつなぐ
・ギターを隠す
・歌手になる、と言ってみる

などなど、たくさんの事をやったのだけれど

バサラさんは

余裕な態度で、全然慌てない。


「・・・・はあ」



なかなかうまくいかない現状に

自然とため息をついていた。




「んぁ?どうした、ため息なんてついてよぉ。」


それに気づいたバサラさんは、

キョトン、と私にそう言った。



「・・・なんでもないです。」

貴方のことで悩んでます、なんて言えるわけがない。

ましてや、目の前にいるこの方は

ザ・マイペース


きっと私が何を言っているかもわからないんじゃ、と思う。




「・・・・・そうかよ。」


意外にもバサラさんは、
ムッと
眉間に皺を寄せて
不機嫌な顔を作ってみせた。




「・・・怒りました?」

そんなわけない、と思いながらも
ちょっと、本当にちょっとだけ期待して聞いてみた。





「・・・・別に。」

やっぱり、と肩をガックリ落とした。



「じゃあ、そんなに眉間に皺寄せないで下さいよ。」

なんだかやっぱり悔しくて

バサラさんの眉間の皺を伸ばすように
人差し指を当てた。



ガシッ

そんな効果音が聞こえたような気がする。


バサラさんは私の手を掴んだ。


「皺なんか寄ってねぇ。
・・・・・俺には言えないことか?」


「へ?」


「さっきのため息の理由。
俺には言えない事なのか?」



なんだか、バサラさんがいつもと違う・・・?

全然余裕綽々な感じじゃない?


いつもと違うバサラさんの姿に
ドキドキした。



「そんな、全然っ・・、言えないなんて、そんな・・・」

「なら、言えよ。」


「そ、それはー・・・」

よくよく考えるととても恥ずかしい理由ではないのだろうか・・・

そんな、『貴方が全然慌ててくれないから』なんて。


「俺は・・・」

「はい・・?」

「俺は、そんなに頼りにならないか・・・?」


バサラさんの悲しそうな顔を初めて見た。

この表情を、私が出させてるのかと思うと悲しくなった。



「ち、違うんです!だって、いつもバサラさんは余裕たっぷりで
焦ったりしなくて、私ばっかり好きなのかな、って思うと、悲しく・・て・・」



ちゅっ・・・



私が弁解してる最中に
目の前の彼は、先ほどからずっと掴んでいた私の手を自分の口元に持っていき

まるで、少女漫画の世界のように

キスを落とした。





「なっ・・・な、なに・・・っ・・」


かぁーっ、と
一気に赤くなった私の顔を覗き込むようにして
バサラさんはニヤッと笑って

その悪戯な笑顔を私に見せた。




「そんな事思ってやがったのか。」

「い、今っ・・・手に・・っ!!?」

「ああ、俺がを愛してるって証拠みたいなもんだ。そんなに気にすんな。」


そんなコトバを聞けば
私の顔はもっと赤くなることを彼は知っているんだろう。

悪戯な笑顔はずっと続いている。



「へへっ、一体何事で悩んでいるかと思ったが俺の事だとはなー。」

「う、ううっ・・・」


この時に私はやっと気づいた。

さっきの悲しそうなバサラさんの表情は

彼の策略で、作られたものだったのだと・・・。




「お前が悩む事なんて何もないぜ?」

「え・・・?」

「だってよ、お前が思う以上に俺はを愛してんだぜ?」

「・・・・・っそんなわけないです!!
だって、バサラさんは大人で、全然慌てなくて、私だけいつも必死で・・っ・」

「俺は昔から隠すのがうめーんだよ。
お前が気づいてねぇだけだ。」

「・・・・じゃあ、バサラさん、ちゃんと私の事好きでいてくれてるんですか・・」

「さっきから言ってんだろ。好きじゃねぇ、愛してんだよ。」


すごく真面目にそう言い放ったバサラさんと
目が合って、あまりの恥ずかしさに
これ以上ないってくらいに顔が赤くなるのを感じた。


「もっと言ってやってもいいんだけどな、」

「も、もういいですよ!!わかりましたからっ・・・!!」

「遠慮すんなって。」

「いいですってばーっ・・・!!」




私の抵抗も空しく、

その後、バサラさんの部屋に連れて行かれ

散々恥ずかしい事をいわれ

最終的に歌を歌い始めて、

何がなんだか分からないまま、朝日が昇り始めてました。



彼が言うには

あの熱烈なラブソングは、どうやら

私を想って作ってくれたらしいです・・・//






とりあえず、

彼は、私が思っていたより私の事を想っててくれて、

今はただ、それだけが嬉しいと感じた。








END

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おまけ



「なんでわざわざバサラさんの部屋まで来たんですか?」

「あー、あの場所で聞き耳立ててる奴らがいたからな。」

「へっ・・・!?!」

「俺がお前の事を好きな理由を、お前以外に聞かせたくねぇからな。」

「またっ・・・そんな恥ずかしい事を・・」

「へへっ、嬉しいくせによー。」

「〜〜〜っ・・・・///そ、それより一体誰が聞いてたっていうんですか!?」

「あー・・・・ピンク頭とハゲのカップルだ。」

「!!!(・・・・それって・・・!?)」






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はい、久々に1日で仕上がり☆


急遽、バサラさんの誕生日という事で書き上げた

なんとも適当感漂う作品になってしまった・・・。




ま、気にしない気にしな〜い。



次はいつアップできるのかな・・・?



リク、いつでも受付中☆笑
(努力はしますが、めちゃくちゃスローで、気ままに、ですが。。。)