眠れずに、夜の海を歩いていた。










夜の海










夜の海は、暗くて怖い、そんな印象が子供の頃あったけど、

今は、月の光が反射して、すごく神秘的な美しさを誇ってる。




そんな中を一人で歩いていると

なんだかすべてのものから解放されたような、やすらぎが感じられる。









ザザー・・・



聞こえてくるのは、波の音だけ。







ゆっくり、ゆっくりと歩いていくと、

人影を見つけた。






「(こんな夜更けに、誰だろう?)」



暗闇の中、目を凝らす。


それでもわかるのはシルエットくらいで。






私は、人影に向けて歩き出した。








ザザー・・・








「・・・・・・誰だ。」





あと少しで相手が誰かわかるところで

人影は私に振り向いた。







月の光に照らされた、その顔は。






「・・・カノン・・!!」




彼だった。

自分がずっと恋焦がれていた、その相手。







か・・・どうした?眠れないのか?」


カノンは私だと、気付くと、

柔らかく笑って、そう言った。



その笑顔にドキドキしながらも

必死に平静を装った。




「う、うん。寝付けなくて・・・そしたら、海が見たくなって・・・」



「そうか・・・」


一瞬、彼が悲しげな表情を浮かべた。




「・・・・・カノン?」



私は心配になって、

彼がどこかへ消えてしまうんじゃ、と

繋ぎとめるように声をかけた。







「・・・・海は・・海をみると、俺はなぜあんな馬鹿な事をしたのか、と思ってしまうんだ・・・。
それと同時に、二度と愚かな事はしない、そういう戒めが俺の中にできるんだ。」





「・・・・・カノン・・」



彼は、自分の過ちを後悔している。

他の、黄金聖闘士が、アテナが、それを許していても

彼の中で、その事は終わりになるわけじゃない。





「・・・・・・・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・カノン、昔の事は、仕方のない事だよ・・
どんなに悔やんでも、悩んでも、過去の事は変えられないよ・・。
だからカノンは、未来で償おうって、アテナの元へ来たんでしょ・・・?
だから・・・・そんな哀しい顔、しないで・・・?」



もうこれ以上、カノンの哀しい顔なんて見たくなかった。

彼は苦しんでる、もう十分すぎるくらいに・・・

だから神様、もう彼を許してあげてください・・


過去の暗闇から助けてあげてください・・・









「・・・・、お前は、俺をどう思う?」


「えっ!!///」



突然のカノンの問いかけに驚いて、声が裏返ってしまった。




「・・・俺は、ここに、聖域にいてもいいのか・・・?」


「・・・そういう事か・・・///・・・カノン、私は、カノンが聖域にいなくちゃ嫌だよ。」


「・・・・・本当か・・?」


「うん、だってカノンがいなくちゃ、私が聖域にいる理由までなくなっちゃうよ。」




少し、間をおいて

私は、自分が告白まがいな事を口に出していることに気付いた。




「・・・・・・って、うわぁぁ!!ち、違う違う!!」



一人で慌てて、手足をばたばた泳がせた。




「・・・・、」





ぎゅっ・・・







カノンに後ろから体の動きを止められた。




というよりも、後ろから、


抱きしめられた・・・。






「えっ!!えっ!?えぇっ・・・///」



私の顔は一瞬にして、真っ赤になった。

それも気にせずカノンは抱きしめる手を緩ませてはくれない。



、俺は、お前の傍にいても、いいのだろうか?」





カノンの声が耳のすぐ傍で聞こえる。




「・・・そっ!!それはもちろん・・・っ・・・!!」






そのあとの言葉は、カノンの口に塞がれて、言えなかった。




だけど、私の言葉はわかったみたいで、カノンは口の端を持ち上げていた。











夜の海辺で、月の逆光を浴びた二つのシルエットは、一つになった。










END

music オルゴールの館 『海と三日月』
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意味わからんくてすみません・・・。



15分で出来上がってしまいました・・・。



感想なんぞをもらえたら、ハッピーマックスです☆