一つの謎。
やっちゃったっ!!やっちゃたっ!?
やっちゃったよーーーっ!!
心の中で悲鳴をあげまくって
教皇の間に飛び込んだ。
「サガさんっ!!」
そこには、足を組んで椅子に座り、片手を頭の後ろに供えて
紅茶を飲んでるサガさんがいた。
「・・・・・・・・・・・・サガ・・・さん?」
あまりにも
いつものサガさんらしからぬ行動に
私はびっくりして目を丸くした。
私が固まったことによって
サガさんは慌てて姿勢を正して
こちらを向きなおした。
「・・・・すまないな。少し疲れていてだらけてしまっていた。」
見なかったことにしてくれ、と苦笑されて、私のサガさんへのイメージが大きく変わった。
「はい。何も見てないですよ。」
「ありがとう。・・・・で、何があったんだ?慌てていた様だが・・・」
サガさんの言葉を聞いて、
私は大変な事を思い出した。
「はぁぁぁぁぁっ!!!!しまったっ!!」
そう言って手に持っていた封筒から紙を取り出した。
「サガさんっ!!やっちゃいました・・・っ・・・この書類・・・」
私は涙ぐんで
事の次第を報告しようとした。
「この書類・・・っ私が・・っ
ミスしちゃって・・・それでっ・・・それで・・・・」
「少し落ち着け・・・。」
サガさんに焦ったように言われて
深呼吸して言い直した。
「・・・・・・この書類、私のミスで、まだ届けられてないんです。」
「・・・・そうか、あまりに泣きそうだから焦った。そのくらいなら・・・」
「本当なら、今日の13時までに届いてなきゃいけないらしいんですっ!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何・・・?」
サガさんは目を時計に向けた。
12:55
二人の間に小さな沈黙が流れた。
「何ぃぃぃっ!???あと5分しかないではないかっ!!!!」
「ごめんなさいっ!!ごめんなさいっ!!ごめんなさいっ!!」
「仕方あるまい……私が直接届けてこよう…場所はどこだ?」
「でも…今からじゃ…」
「大丈夫だ。とにかくどこなんだ?」
「日本の、アテナの会社の本部です。」
「わかった…少し待っていろ。」
そういうと
サガさんは教皇の間を早足で出て行った。
13:00
「も、もう13:00になっちゃったよ…。」
今までなんどか失敗したけれど、
これほど大きな失敗は初めてだ。
「サガさんにも迷惑かけちゃうし・・・。」
書類はどうなったのだろう。
サガさんが大丈夫だと言ったから多分間に合ったのだろうが。
「本当、何やっても駄目だな・・・。」
何もできない自分に涙が出てくる。
「初めから諦めるより、やって失敗する方が、その後の進歩はすばらしいものだと思うが?」
教皇の間の入り口には、
少々服と髪が乱れたサガさんが立っていた。
「サガさん・・・っ・・・」
「大丈夫だ。書類はなんとか13:00までに届けてきた。だから安心しろ。」
サガさんの大きな手が私の頭を押し付けるようにして撫でた。
その優しい行為だけで
目頭が熱くなる。
「サガさん・・・迷惑かけて、すみません…っ・・・」
「迷惑だとは思ってない。たまには運動しないと体がなまるからな、ちょうど良かった。」
「失敗ばかりですみません・・・」
「そのうちしなくなるさ。気にするな。」
溢れ出る涙をこらえて
謝り続ける私を
サガさんは責めずに
ずっと慰めていてくれた。
「すみません、サガさん、忙しいのにこんなに時間を無駄にさせてしまって・・・・」
「いいさ、今は休憩時間だったんでな。それに無駄じゃない。」
「・・・・・・次からは失敗しないように、サガさんに迷惑かけないように頑張ります。」
「ああ、疲れすぎで倒れない程度にな。」
「では、失礼しました。」
教皇の間の入り口で私は再度お辞儀をして
ゆっくりと外に出た。
しばらく歩いて行くと、
青い髪をした人影が目に入った。
人影は教皇の間に向かっているのか、
こちらにゆっくりと近づいている。
私もゆっくり教皇の間から離れているので、
自然と人影と近づく事になる。
トコトコトコ・・・・
え・・・・
あの人ってもしかして・・・
でも、そんなわけない・・・・
「・・・・・・・・・!!」
近づいてくる人は
間違いなく
サガさんだった。
それも、少し顔色が悪い。
「・・・・サガさんっ!?」
「ん?・・・あぁ、か。どうした?」
「それはこちらの台詞ですよ!?」
サガさんは不思議そうに
眉を寄せた。
「どういう事だ?」
「どういう事だ・・・って、サガさん、教皇の間にいたじゃないですか!!なんでここに・・・!?」
「教皇の間……に、私がいたのか……?」
サガさんの悪かった顔色は更に顔色を悪くさせた。
「何言ってるんですか。私と会話したじゃないですか。」
「・・・・、そのサガは、少々だらけ気味で、くだけてなかったか…?」
「え・・・・・・」
そう言われて、
教皇の間に入ったときのサガさんの様子を思い出す。
「…どうだ?」
「そういえば、だらけて、ました・・・。」
「やはりそうか……」
「サガさん…?」
「あの愚弟めがぁ……」
「カノーーーーーーンッッッ!!!!!」
<カノン>と大きく叫びながら
サガさんは恐ろしいスピードで教皇の間に入っていった。
一体、どういう事なのだろうか・・・?
私が先ほど迷惑をかけてしまったのは、サガさんではなかったのだろうか?
「カノン・・・・・・?」
状況を理解しないまま、
私はゆっくりと十二宮を下っていった。
NEXT?
++++++++++++++++++++++
いや、ごめんなさい・・・(土下座)
すごい「なんだよ!!」と思われるでしょうが
ちょっと気に入ってたりするんです・・・(泣)
カノンは、ヒロインをまだ知らなかったから、名前出てくるの少なくてごめんなさい・・・。
でもって、サガが具合悪そうだから自分が教皇をやってあげよう!!と、思ったに違いない・・・。