「嫌いだ!!お前なんか大っ嫌いだ!!」


そう言った後の、貴方の悲しそうな顔が頭から離れない。










キライ










「なあ。」

「何?ミロ?」

「そろそろ許してやったらどうだ?」


「・・・・・なんのこと?」


唇を尖らせて、眉間に皺を寄せて
不機嫌オーラを漂わせた。




「アイオリアのことだ・・・。その、勘違いだろう?」

「・・・・・・・・・・・勘違いじゃないし。」




そう、勘違いではない。





3日前のことだ。






私はたまたま修行でもしようかと闘技場に行った。

アイオリアに会えるかも、という淡い想いを抱きながら・・・



そう思うと
自然に足早になって行って、闘技場にはすぐ着いてしまった。


ああ、私は彼がそんなに好きなんだな、と

自分自身を笑っていると、



闘技場の中から、聖闘士の見習いっ子達が出てきた。




「こんにちは〜、さん。」
「今日は修行ですか?」

見習いっ子達は私の姿を発見すると
駆け足で近づいてきて、各々挨拶をした。


「まあね〜。聖闘士じゃないにしても、痴漢撃退とかに役立つしっ!!」



「恐っ・・・(笑)あ、でも今は止めた方がいいですよ?」


体をブルッと震わせてから
見習いっ子は控えめに、そういった。
見れば、顔が少し赤くなってるようだった。


「へへーん♪アイオリア様が今、ラブラブ中なんだぜ!?」

「相手は聖闘士のお姉さんだったよ!!」

「そんで俺達出るに出れなくて広場で修行しようと思って。」

「・・・そうだ!!さんも一緒に修行しようぜ!!痴漢役はこいつにやらせるからさ♪」



一人が後ろにいた男の子の首を腕で組んで
笑顔で言った。
生贄にされそうな男の子は、体をばたばたさせて
他の男の子達と、「お前がやれー!!」と騒いでいた。








私は、その光景を、顔に笑顔を貼り付けて見ていた。


今、見習いっ子たちの言った言葉が胸にささって、

痛くて、

涙がでそうで、

とてもじゃないけど、声は出そうになかった。





「な!?さんも行こうぜ?」



見習いっ子がキラキラした目で見ていて、


私はそれに首を振るだけだった。





「えぇーーー!?・・・ちぇ、じゃあまた今度一緒に修行してくれよ!!」

さんがいると頑張るやつらいっぱいいるからさ!!」





私の無愛想になってしまった返事をもらっても

尚、笑顔で接してくれる子供たちに思わず涙ぐんでしまった。



見習いっ子たちに『OK』と頷いて、そこでバラバラに分かれていった。








そして、私は、闘技場に行った。



行ってしまっていいのか迷った。

もし、本当にアイオリアが女の人とイチャイチャしていたら、




私は・・・・?



私はどうすればいいんだろう・・。




アイオリアの事が好き、だけど、

想いを告げたわけでもない。



アイオリアに想ってる人がいたら、

それは、私の介入する事じゃないだろう・・。











ゆっくり、ゆっくりと

入り口を歩いて行った。
















修行場に、緊張しながらも

ゆっくりと足を踏み入れた。














「・・・・・・・・・・・っ!!」










アイオリアは、いた。





魔鈴さんと一緒に・・・。











それだけなら、まだ良かった。


私の方向から見えたのは、

アイオリアの顔と魔鈴さんの頭で・・・






遠くからしか見えなかったけど、

魔鈴さんは仮面をつけてなかった。
















女聖闘士は、素顔を見せた相手を

殺すか

愛するしかない










そして、あの二人はお互いそれを知ってるはず・・・。


それを承知で素顔で話し合ってる・・・?





だとしたら答えは一つしかない。






あの二人は愛し合ってるんだ・・・。

















悔しくて、悔しくて、



私は、


アイオリアに向かって、


キライ、と叫んだ。





















で、未だギクシャク。









「・・・まったく、さっさと告白しないからこんな事になるんだ。」

「うっさい。ミロだったら好きな人にすぐ告白できるの?」

「当然だ。俺はスコーピオンのミロだぞ?欲しいものはすぐさま手に入れるさ。」

「ふーーーーん。まあ、どうでもいいけど。」

「・・・自分から聞いておいてそれはないだろう。」

「・・・・・・ミロ、」

「ん・・・?」

「本当はさ、わかってるんだ。私が何もしなかったから、勇気や自信が持てなかったから、
アイオリアは誰かの、ってか魔鈴さんの物になっちゃったんだって。」


友達だったらずっと一緒にいられる。

友達だったら、修行だって一緒にできる。

友達だからこそ、一緒に飲みに行ける。


でも、告白して、振られてしまったら?




全ては、なくなる。





そんな事ばかり頭に浮かんで、自分の首を絞めていた。




恋人だったら、アイオリアを独り占めできる。

恋人だったら、手を繋いで歩ける。

恋人だったら、アイオリアに抱きしめてもらえる。




そんな甘い誘いも

振られて、全てをなくしてしまうくらいなら、と

我慢することができた。





でも、我慢した結果が、

今の、状況。







「・・・っ・・」


アイオリアの事を考えると、

その隣に、微笑む魔鈴さんの姿が見えてしまう。




ポンポンッ・・・



頭の上でミロの手が跳ねた。



「もう、後悔は済んだか?」

「・・・・・っ・・えっ・・・?」

「済んだのなら、アイオリアの元へ行け。」

「・・・・・っ・・・・・・・・嫌だよ・・・。」

きっと、魔鈴さんも一緒にいる・・・。


「何を言っているっ!!お前はずっとアイオリアが好きだったのだろう?なら、なぜすぐ諦める?
なぜアイオリアに直接聞かない?」

「ッ直接聞いて、駄目だったら!?どうするのさ!!」

「なぜ駄目だと決め付ける!?誰もそんな事は言っていないだろう、俺も、アイオリアも!!」


確かに、誰も言っていない・・

だけど、

だけどさ、

好きな人本人に、言われたら、私は・・・。




「・・・・・・・・・・・・・・・・。」

フッと、ミロが笑う。

「大丈夫だ。アイオリアが、お前に口を利いてもらえなくて、どれだけ落ち込んでいると思う?」

先ほどとは違い、諭すような、やさしい口調になっていた。




「・・・・・・・・・・・・・・。」

「ずっとそうやっているのは嫌だろう?お前も。」



そう。

アイオリアと話したくても、意地を張って、無視を決め込んで

こんな関係は嫌だ、と思い始めたら、

今度はアイオリアが私を見ると哀しそうな顔をして俯いて通り過ぎて行くようになってしまった。


辛い、辛い、すごく・・・嫌。



「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「行ってこい、な?」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん・・・。」















NEXT・・・


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前(中間)後半に分けちゃった。


つか・・・・むしろミロ夢・・・っ!?


いやいやこれはリアの夢さ!!


ああ、更新したいのに暇がない・・・
くそーーーっ!!!!