あなたのことが気になって仕方がありません。
仕事熱心なあなたと少しでも一緒にいたくて
いつの間にか、私まで仕事ばかりするようになってしまいました。
無意識に。
「サガさん。この書類は誰宛でしたっけ?」
私は一枚の書類をサガさんの前に出し、
問いかけた。
少しでも会話をしたい。
そうじゃなければ、仕事をいっぱいやってる意味がなくなってしまう。
サガさんは見ていた書類をデスクの上に置き
私が差し出した書類を見る。
「ああ、これはミロのところだな。悪いが持って行ってくれないか?」
「わかりました。」
「届けてくれたらそのまま昼の休みに入ってくれていいぞ。」
「はい。それじゃあ行ってきます。」
書類を掴み、私はゆっくりと天蠍宮に向かった。
私がサガさんの事を意識しだしたのはつい最近。
その日はたまたま嫌な事が続いて
仕事を定時に上がれなかった時。
昼間と違って、静まり返った執務室で
一人、パソコンと向き合っていた。
平気な顔をしていたけど
実はすごく心細かった。
雨の音や、風の音が、妙に響いて
ビクビクしながらの残業はなかなか進まずにいた。
そんな時、
サガさんが来てくれた。
執務室に入ってきたサガさんは何も言わずに
私に紅茶を入れてくれた。
そして
「残業は初めてだろう?飲むといい。集中できるぞ。」
そう言って自分の席に座った。
私はサガさんがどうしてここにいるのだろうと思い、
ジーっと見ていたら
視線に気付いたのかサガさんは苦笑して
「実は私も仕事が残っていてな。早く仕上げて帰りたいものだな。」
と言った。
その後は
二人になったおかげで雨音や風なんか気にならずに
1時間ほどで仕事を終わらせることができた。
でも、その翌日
シュラさんの言葉を聞いて私は、サガさんを意識せずにはいられなくなってしまったのだ。
「サガ?やつは昨日珍しく早くに仕事が終わっていたな。
そういえば、なんでか知らんが今日の書類はいつもより少なかった気がするが、、何か知っているか?」
「あ。」
そんな事を思い出してるうちに目の前には
目的地の天蠍宮が聳え立っていた。
「ミロさーん、いますかー?」
少しすると中から足音が聞こえてきて
そのすぐ後にはミロさんの姿があった。
「やあ、何の用だ?」
「これを、サガさんから渡せと言われてきました。」
「すまないな。・・・また派遣か…」
「そうなんですか。・・・頑張って下さいっ!!」
「ああ…。そうだ、昼食は済ませてしまったか?」
「いえ?」
「それじゃあ一緒に、どうだ?」
「いいんですか!!それではお言葉に甘えて・・・。」
天蠍宮でご馳走になるという事で
案内されるまま、リビングに入っていった。
リビングにはテーブルがあって
そこにはすでに座っている人がいた。
「あ、カミュさん。こんにちは。」
「か。お前もミロに連れてこられたか。」
宝瓶宮のカミュさんだった。
カミュさんは私に、お互い大変だな。と微笑して
私に座るよう促した。
「え、でも、そうしたら誰がご飯を・・・?」
「ミロが呼びつけたんだ。やってくれるさ。そうだろう?」
「もちろんだ。客人に台所に立たせるなどそんな失礼な事をこの俺がするわけなかろう。」
「ミロさんの手料理ですか!!うわー、楽しみに待ってますっ!!」
「ちょっと待っていろ。すぐに出来上がる。」
そう言ってミロさんはリビングの奥に歩いて行った。
ミロさんがいなくなって、リビングには私とカミュさんの二人きりになった。
「ふう・・・。」
日頃仲良くしているカミュさんと二人になってか、気が抜けてため息がでた。
「?どうした?・・・何かあったのか?」
本当に心配そうにきかれ、
私はこんな事を相談しても良いのだろうか、と悩んでしまった。
けれど、もう誰かに聞いてもらわなければ、限界だった。
「・・・・・・・実はですね・・・」
「・・・・ああ。」
「・・・好きな人に近づこうとしても、全然近づけないんです・・。」
しーん・・・
やっぱり、くだらないことを相談してしまって、
呆れてしまったのだろうか。
私が、どうしよう、と考えていたら
カミュさんはゆっくりと口を開いた。
「・・・・・それは、サガ、だな?」
「!!!・・・なななな、なんで!?」
いきなり図星をつかれ、慌ててしまった。
「お前の執務時間が延びた理由なんてそのくらいしかないと思ってな。」
「うぅ・・・・・」
自分の気持ちがばればれだったことが恥ずかしくて
自己嫌悪に浸っていると
カミュさんが真面目な顔になって、
話し出した。
「近づけない、そう思ってるの間違いだな。」
「え・・・?」
「近づいてるさ。ただお前が気付いていないだけだ。」
「そんなことは・・・ないと思うんですけど・・・?」
「例えばだ。が執務のとき、一緒に仕事する人が何人かいるだろう?」
「は、はい。います。」
「それは、ムウやデスマスク、ミロ、様々じゃないか?」
「はい、皆さんのお優しい人達ばかりです。」
「ここで質問だ。執務をする時、いつも一緒の人は誰だ?」
いつも一緒の人・・・?
・・・それは、わかる。
いつもその人に会いたいから、
その人に褒めてもらいたいから
執務を頑張ってるのだから・・・。
「それは、サガさん・・・です。」
「だろう?」
そこでカミュさんは微笑して
「いつも同じだなんて、凄い確立だろう。なんでいつも一緒だと思う?」
そう言った。
「・・・・・なんで、でしょう?」
考えても、答えなんて出なかった。
そういえば凄い確立だ・・。
「執務のシフト表を作っているのはサガだ。・・・もうわかったか?」
「・・・・・・・・・。」
「つまり、サガが故意にと一緒にしているんだ。」
職権乱用とはこの事だな、と続けるカミュさんの言葉は私の耳に届いていなかった。
サガさんが、私と一緒に、故意に・・・!?
頭の中で整理ができず、
ショートしそうだった。
そこへ、
「カミュ、全部ばらしてしまってはサガに怒られるのではないか?」
手料理を両手に持ったミロさんが戻ってきた。
口ではカミュさんを咎めているようだったが
その表情はうっすらと笑っている。
「ふっ、まあ良いではないか。こう見えて私は気が短いんでな。」
「そうだな。お前が言わなかったら俺が言っていたかもな。」
クックックッ・・・と笑っている二人をよそに
私は、なにがどうなっているのか、さっぱりわからなかった。
「、これは私から最後の助言だ。」
「・・・・・はい。」
「今日、告白すれば成功する。」
「・・・・・・・えぇ!?」
「俺も同感だな。の今日の運勢はすごく良いとムウが言っていたしな。」
「・・・・・・・う、運勢とかってあんまり関係ないんじゃ・・・」
「サガの恋人になりたいなら、告白するんだな。」
「ぐずぐずしているうちに、誰かに盗られてしまうかも知れんぞ?」
あいつもなかなか人気があるからな、と二人は妙に真剣な顔つきで語りだした。
サガさんがいかにモテるか、
早くしないといけない、
そんな事をずっと言われ、私もなかばやけくそで、
「・・・っわかりました!!今日、今から!!執務室に帰ったら告白してきます!!」
そう言ってしまった。
その瞬間、二人はにやっと笑って
「言ったからな?私は嘘が嫌いだ。」
「ちゃんと言ったことは実行しろよ?」
と言った。
これは、嵌められたと言うのかも知れません・・・。
NEXT・・・
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シフト表とか・・・笑。
妙に現実じみてるなヲィ!!
つか続編!?
書けるのか!?