全ては、終わったんだ・・・




全ての戦いが、争いが、何もかも・・・







それならば、俺達の存在に価値などあるのだろうか・・・











運命












「シュラ、お疲れ様・・・」


夜、外の空気を吸っていたら、

木に覆われた崖の上で、一人海を見つめるシュラを見つけた。







「・・・・ああ・・・」


哀しい瞳をしていた。

何か、迷ってるような・・・複雑な瞳を・・・。


だから、彼から何か言ってくるまで確信的なことは聞かない。

そこまで自分が足を踏み込んでいいのか迷ってしまうから・・・。






「・・・・それにしても、シュラ、よくこんな時間に起きてるね?
私なんてたまたま起きなかったら、一生こんな時間になんて起きれないよ。」


ハハハ・・・という、空笑いが海に吸い込まれていく。










「・・・・・・・・・・・この時間の海が一番美しい・・・」



暫くして、シュラは独り言のようにポツリとつぶやいた。

私にむけての言葉ではないかもしれないけれど

その言葉が妙に嬉しくて、私はその言葉に続いた。



「そうだね、昼の海も元気を分けてくれて好きだけど、
夜の海はやさしさで包まれてて、きれいだね・・・。」





太陽の光が反射して光り輝く海、

月の輝きに照らされてやさしく光る海、



同じ輝きでも、二つの光は

正反対の印象を与える。




人の心に染み込む、それも。









「・・・、俺は・・・」

苦しそうに言葉を紡ごうとするシュラ。

私はただ、シュラの言葉を黙って待つ。




「・・・聖戦は終わった。全ての者の力で・・・。
それは、俺が、俺達が望んだ事、そのものだった・・・っ。

だが、俺は、戦う事がなくなってしまったら・・・
俺達聖闘士、戦うことしか知らない奴らはどうすればいい!?
・・・・俺達に、存在する意味はあるのか・・・っ」



シュラは、言い終えると木の根元に座り込んでしまった。



「シュラ。」


「・・・・・・・なんだ。」


「シュラは、シュラでしょ?」



シュラは、俯いていた頭を上げると

眉間に皺を寄せて、こっちを見た。

それは

『何を言っている?』

そんな意味をこめたものだった。




「黄金聖闘士、カプリコーンのシュラ。
それも、シュラだけど

黄金聖闘士じゃなかったら、シュラじゃなくなっちゃうの?」





「・・・・・・・!!」





「私は、聖闘士じゃなくても
シュラ、貴方が好きだよ?
聖闘士でも聖闘士じゃなくても
シュラが傍にいてくれればそれでいい。」





「・・・・・・・」



静かな風が二人の間に流れた。










「っはい!!これがシュラの存在する意味っ!!」


「・・・・・は?」


「私がシュラを必要としてるから
シュラは存在しなきゃいけないのっ!!
他の聖闘士も自分の事を想ってくれてる人のために存在しなきゃ駄目っ!!」









っぷ・・・




少し間をおいて

そんな効果音が響いた。







「はは・・・ははははっ・・・!!
・・・それは随分自己中心的な考えだな。」



「ふーん。好きな人がいつ死んじゃうかわからないんだから
言える時に言っとくの!!

・・・・何も言えずに、終わらされるのは、もう嫌だからね・・・。」




シュラが死んだ時、

何も言えなかった。


私は、すべてのことを先送りにして、

全部を後回しにして


肝心なことも

シュラがいなくなってから、叫んでた。




だから、もう、あんな想いはしたくない。







「・・・同感だな。」


ぐいっ・・・


「うわっ・・・」




座っていたシュラに腕を引っ張られて

重力も強力して

シュラの懐に飛び込んだ。





「シュ、シュラ!?」


「俺も、何も言えぬまま、死ぬなんて二度とごめんだからな。
言わせてもらう。」


「え・・・」



、お前を愛してる。
願わくば、最期の日まで、共に・・・」










気がつくと、海の向こう側から

朝日が昇り始めていた。





END


music 遠来未来 『遥〜はるか〜』
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カノン夢と対になる感じ・・・。

まあいいや。(ヲイ)

シュラ大好きだから、とりあえず書きたかったのら〜♪